執筆が楽しくなってきただ。


by tsado18

女達・それぞれの道(その4)

               ・・・・・・・・★7・・・・・・・
わけのわからないうちに動き出した日本の新生活。
マサキの家のお店、新橋の老舗料亭「里むら」というところだったの。
とんでもないところに来てしまったというのが率直な感想よ。根性だけは自信があったのに、仕事の面では何もできない私が情けなくなったわ。

家は日本食のレストランだと、マサキに聞いていた。軽い気持ちでフィリピンのレストランをイメージしていたの。私にもお運びをするとか、何か手伝えそうだなと漠然と考えていたの。大はずれだったわ。
料亭というは、日本料理を出す高級飲食店だったの。
日本文化に育まれてきた格式と伝統を重んじるお店。日本庭園まであるのよ。お客は政治家、大企業の経営者や重役、財界人ら。いわゆるお偉いさん方が接待や会合に利用していたんだって。過去形で語ったんだけど、ちゃんと意味があるのよ。
閉ざされた空間としてそれなりにやってこられたんだけれども、バブル崩壊以後、官官接待、企業間接待、政財界人の利用が激減し、状況が一変したんだって。
旧来のスタイルを変え、利用しやすい価格帯に料金を落としたり、結婚式・披露宴に力を注いだり、いろいろなイベントを企画したりして普通の人々の顧客獲得に営業努力し始めたんだけれど、うまく対応し切れず、ほとんどのお店が苦境に立たされているそうよ。

「里むら」も経営が苦しいみたい。深夜。リビングルームで、帳簿の数字をにらんでは溜息をついているママの姿を何度も見て、私も何となく経営状況が想像ついたわ。申し訳なくなって言ったの。
「ママ、私にできることがあったら、何でも言ってください」
「ありがとう、アイアン。心配しなくていいのよ。時代の流れなの。私とパパで、なんとか切り抜けてみせる。アイアンは、しばらく、マサキと赤ちゃんの世話と、日本語の習得に打ち込んでいてちょうだい」
ママの言う通りよ。そんな格式のあるお店に外国人の私が簡単に入り込んで、助けることなんかできやしない。私は、お店のことは考えないようにしたわ。


でも、生活は快適そのもの。
マサキとパパとママがが住んでいた、麻布十番の38階建ての高層マンション「マスターズガーデン麻布十番」に、母子2人がそのまま転がり込んだの。広さを別にすれば、住み心地は最高。東京のど真ん中の港区。ベッドルーム3室の130㎡程度のコンドミニアムなんだけど、2億円したんだって。
私、最初、マニラとの生活格差にお姫様にでもなった気分だったわ。
六本木ヒルズや東京ミッドタウンにも歩いていけるのよ。日本人の女性なら、誰もが憧れる最高のロケーションよ。
赤ちゃんの乳母車を押して、杖をついたマサキのユックリペースに歩調をあわせて、毎日のようにお散歩、楽しんだわ。お陰で、マサキのリハビリも進んだのよ。
食べる面でも着る面でも、お洒落で雰囲気のいいお店がいくらでもそろっているの。目移りしてしまうのよ。
毎日のお買い物は歩いて5分ほどの麻布十番の商店街。最初はママと出かけていたわ。でも、最近はほとんど一人。私のお仕事になったの。ママ、私をすっかり信用してくれているのよ。


パパもママもとっても優しいの。特に板前のパパにすっごく気に入られたみたい。私が料理好きだと知って、キッチンで、日本料理の基本から懇切丁寧に教えてくれたの。器用で好奇心の強い私、メキメキと腕を上げたわ。それがまたパパを喜ばせたみたい。
「うちの若い奴らより、よっぽど筋がいい。女板前として、本格的に修業させたいな」
何かあると、アイアン、アイアンなの。マサキがヤキモチ焼いてむくれるほどなのよ。おおっぴらに言えないけど、私、おじさん達に甘えるのは手馴れたものだったのよね。

パパは買出し、仕込みで、朝早くから出勤よ。朝食の用意は私が担当になったの。ママは、お店を閉めてから夜遅く帰ってくるんだもの。
意外なことに、パパ、朝はパン食派なのよ。私との朝の二人きりの時間、とても楽しみにしているみたい。料理のことを聞けば何でも教えてくれるの。私の師匠よ。ママにもマサキにも言えないけれど、私、思いっきり甘えることにしているの。だって、パパ、すっごく喜ぶんだもの。


パパの肝入りで、私、お店の板場に出ることになったの。家の仕事をする人がいなくなるから反対を覚悟していたのに、ママもマサキも賛成してくれたのよ。何か考えがあるみたい。

特別扱いはしないといっていたので、私、覚悟していたわ。
朝早くから仕込みが始まり、夜、日付が変わる頃まで、つらい厳しい労働が続くのよ。
ずっと立っているの。仕事が終わる頃は足が膨らんで象さんになっちゃうのよ。でも、好きな仕事だから楽しいの。マニラで夜、働いていた頃よりずっとつらいけれども、充実感が違うのよね。

徒弟制度がまだ生きている閉鎖的な職人の世界だけれども、時代と共に少しずつ変わってきているみたい。日々の仕事が鍛錬と勉強であることは変わりないわ。能力、実力の無い間はきついみたい。

でも、働いている新人達から見れば、私、完全に特別扱いだったわ。
1年目は、雑用ばっかりでほとんど料理することができないらしいけど、私は始めから料理を作らせてもらったわ。
板前の修業の目安は、5年なんだけれど、パパが3年で組んでくれたの。これも特別扱いよね。とにかく、パパのような一流の板前になれるよう、頑張るわ。
経営者の息子のお嫁さんということで、年配の板前さん達もすごく優しいの。
上下関係の厳しい世界なので、下積みのときは苛めに近いことがあるらしいけど、私にはもちろんないわ。
追いまわしと呼ばれる1年目の新人さんは、調理道具などの用意、洗剤の補充など朝の準備から始まって、賄い作り、洗い物など。本当に休む暇がないのよ。


でも、皆、言うのよ。私みたいな若くて美しい女性がいるだけで、職場が明るくなったんだって。へへ、しょってるわけじゃ、ないわよ。皆、本当にそう思っているみたいなんだもの。私が入って以来、若い子で、止めた子がいないんだって。私が必死でやってるのがわかっているから、負けたくないみたい。男のプライドよね。


新橋のお店まで、タクシーで1000円くらいの距離。始めは仕事で疲れ切っていたのでタクシーを使っていたわ。でも、美容と健康を考えて、最近は自転車にしたの。体力がついてきたみたい。
「アイアン、若いねえ。羨ましいわ。ママはとても無理」


でも、1年先輩の修司だけは、私の存在が面白くないみたい。妙に私につっかかるよ。私が入るまでは、ヤル気はあるし、学習能力はあるし、ハンサムだし、お店の期待の星だったみたい。その修司がとうとう不満を爆発させたの。自殺未遂騒ぎを起こして、男子トイレに閉じこもってしまったの。きっかけは高校時代から付き合っていた同郷の恋人に振られたんだって。その子が大学生の新しい彼を作って別れを切り出されて、自暴自棄になったみたいなの。先輩達が入れ替わり立ち替わり、トイレに入って、なだめ諭したけれど、「俺は店を辞める」の一点張りなんだって。
郷を煮やしたママが私に説得の白羽の矢を当てたの。ママの女の勘よね。

「修司さん、何よ。あんたが辞めたら、私、がっかりだわ。あんたが私の一番のライバルだったんだから。ヤル気がなくなっちゃうな」
「なんだよ、お前は副社長のお嫁さんに納まって、オマンコしていればいいんじゃないか」
「何よ、私は一流の板前になりたいの。お前こそ、何だよ。女に振られたくらいで、泣きべそ、かいてるじゃないか。女と板前になることと、どちらが大事なのよ?」
「板前になることに決まってるだろ」
「じゃあ、店に残って、私と張り合えよ。お前の価値が分らないような女なんか、お前から捨ててやれよ。お前、ハンサムだし、オマンコの相手なんか、いくらでもいるって。今度、軟派、手伝ってやるって。前の女より、はるかにいい女、探そうぜ」
「本当か。優しくてえ、美人でえ、ボインボインでえ、あそこの締りがいい女、探すの手伝えよ」
「お前、欲張りなんだよ。そんな私みたいな女、そうそうはいないけどな。まあ、手伝ってやるよ」
「お前、あそこの締り、本当に良いのか?」
「アタボウよ。副社長に聞いてみろ」
「そんなことできるわけ、ないだろ。でも、お前、話の分る奴なんだな。知らなかった。お前のダチになって、お前と張り合うよ。店を辞めるの、止めた! でも、お前、本当に軟派、手伝えよ。俺達だけだと、どうもうまくいかないんだ」
「よっしゃ、今度、休みの日、皆で渋谷に出かけるぞ」


恋人探しの渋谷軟派、出てきたはいいけど、修司、かっこうつけているつもりなのか、フニャフニャした態度で、歯の浮くような言葉をかけている。女達、顔を見合わせて、避けて通り過ぎていく。
「修司、きどるからいけないんだよ。お前の魅力はふてぶてしい態度。いつものようにいけよ。エッチな言葉でもいい。印象に残るように、気持ちを正直にぶつけてみろよ」
「わかった。やってみる」

「やあ、俺、修司ってんだ。オネエサン、俺のタイプだなあ。色っぽい顔、セクシーな胸と尻。いいなあ。一発、やらせてくれないかな」
「なによ、あんた、失礼じゃない。私があんたなんかに抱かれると思ってるの?」
「男と女の間の関心事って、結局、オマンコ、やることだろ。俺、君のこと、優しく優しく抱いてやるんだけどな」
「てなこと言って、グイグイ、入れて、自分本位に出していくだけじゃないの」
「俺は、そんな失礼なことはしない。お望みなら、お前のあそこ、3時間は舐め続けるぜ」
「本当か。気持ち、いいだろうな。」
「本当に本当だ。何回もイかせるぜ」
「私、明美。君、正直で気に入ったわ。私、六本木で美容師の見習い、やってるの。君は何、やってるの?」
「俺、新橋で、板前。よろしくな。本当、良い身体しているな。ちょっと、触っていいか?」
「バカ! 10年、早いんだよ」
「俺、料理人だろ。いい素材を見ると、唾が湧いて来るんだよ。おお、早く料理したい」
「私に優しくしていたら、そのうち、やらせてやるって。君、ハンサムだし、私もキスしてみたいわ」
「明美さんがその気になるまで、辛抱します。 我慢します」
「よし、合格! メールアドレス、交換しましょ」
「ほい、きた」
修司と明美、深夜のメールデートに励んでいるんだって。エッチな言葉やエッチな写真を交換しながら、同じ時間にオナっているんだって。そろそろ、本物を味わうことを、二人とも望んでいるんだって。
「明美、お前のオマンコの画像、ピンク色で、すっごくきれいだなあ。俺、見ているだけで、ピュー、ピューって、2回発射しちゃったよ。早く本物を舐めたいよう」
「修司、君のそそりたったものもすごい迫力。私も早くこの手で握り、この口でしゃぶりたいわ。そろそろ解禁よね」
「本当だな。解禁だよな。来週の日曜日あたり、どうだ?」

修司、完全に元気を取り戻したみたい。パパとママに感謝されちゃった。


               ・・・・・・・・★8・・・・・・・・
日本に到着。ケンジの家で同居が始まったわ。
家は、東京メトロ東西線東陽町駅のそば。永代通り沿いの時代遅れのさびれた珈琲店。客はほとんどが常連。パパの小中高の友人の中高年のオヤジがほとんどよ。ママの話では、採算、赤なんだけど、我慢してやっているんだって。何時つぶそうか、考えているところだって。
もったいないわ。私、営業に協力しちゃうんだから。

オヤジ達、私がカウンターに出て行くと手を打って喜んでくれたわ。
「うわぁ~、ママの皺くちゃ顔ばかり見ていたので、華やぐなあ!」
「何よ、安藤。大昔、私に結婚してくれって、迫ったの。誰よ」
「それを言うなって。ケンジ君の奥さんじゃなければ、手を握って、即刻くどくんだけどなあ」
「やってみれば、トキちゃんにすぐ垂れ込むから」
「それも言うなって」

「ところでさ、彼女さ、名前、なんて言うの?」
「ジャネットです」
「可愛い名だなあ。君にぴったりだ。ママの名前、小百合って可愛い名前なんだだけど、もう、全然似合ってないだろ。若い頃はそれなりに可愛かったんだけど、今は無惨だろ」
「さあ・・・」
「お~い。安藤。聞こえてるぞ」
「ところでさ、ジャネットさあ。おじさんのこと、どう思う?」
「始めて会ったばかりだし、どう思うと言われても・・・」
「シャコウジレイで言うの。例えば、いい男ですね、とか、ケンジがいなければ、オジサマと一緒になりたいとか・・・」
「はい。オジサマ、本当、ハンサムだよね。ケンジがいなければ、私の身体、あげちゃおうかな?」
「ジャネット、安藤の言うことなどに、真面目に答える必要ないからね」
「ママ、大丈夫よ、シャコウジレイで答えているから。シャコウジレイって、嘘をつくことでしょ」
「・・・・・」


何日もしないうちに、パパが本性を表したわ。すごくエッチなの。
夕食の用意でキャベツを刻んでいたら、パパの手がお尻に伸びてきたのよ。摩るのよ。ちょっと気持ちもいいし、騒ぐこともないかと、見逃してあげたら、その後、ママの眼を盗んでは何度も何度も触ってくるようになったの。このままじゃ、いけない。ガツンと、一発、かましておかないといけないな。
「パパ! ケンジとママの見ていないところで、私を触らないで! 私は、パパの知っているように、元売春婦よ。だから、パパと寝ることなんか、平気よ。でも、それは、絶対にできない。ケンジを、ママを、裏切ることになるから。今度、私を触るようなことがあったら、この包丁で刺すからね。本気だからね」
「わかった。でも、ずっと出してなくてムラムラしてるんだ」
「出してないって、ザーメンのこと? ママと、セックスしてないの?」
「ヤル気が、全然起こらないんだ。1ヶ月以上、交わりなしなんだ」
「可哀想だな。ママの許可があれば、マッサージのついでに、パパの中に溜まっているザーメン、出してあげてもいいわよ」
「ウワッ、ワッ、ワッ、出してほしい。でも、ママの許可か。難しいな」
「許可は絶対、必要だからね」
「どうやって、説き伏せようか。ウーム」

「ママ、ママ、ジャネットが男性機能回復のマッサージをフィリピンで習ってきているんだってよ。受けてもいいかなあ。是非、機能を回復させて、昔のようにママとギシギシ、ベッドをきしませたいんだけどな」
「あら、うれしいこと、言ってくれるじゃないの。オチンチン、立つようになるなら、受けても構わないわよ」
「でも、そのマサージ、ジャネットに、俺のチンチンの周りを、触らせて揉んでもらうことになるんだけど、それでもいいかな?」
「最後に、パパに天国にいかされたのは、何時のことだったかしら。もう忘れているわ。また、本当に、私のこと、昇天させてくれるというんなら、しょうがない、ジャネットのマッサージ、受けてもいいわよ」
「よっしゃ。善は急げだ。じゃあ、これから、2階で、ジャネットに、第1回、施療をしてもらうことにする」
「じゃあ、頑張ってね。私、トキちゃんと銀座に買い物に行く約束があるから」

パパ、うまく言いくるめたみたい。エロいこととなると、知恵が働くんだから。ケンジも、歳を取ったら、パパみたいになるのかな。ちょっと嫌だな。遺伝だものな。覚悟していた方がいいわよね。そのときはそのときよ。でも、パパ、憎めない、可愛いところもあるのよ。

まず、普通のマサージを1時間弱。身体中をリラックスさせたわ。
「ジャネットは本当にマッサージがうまいなあ。この技術を眠らせておくのはもったいないな。この部屋、ずっと空き部屋のままなんだ。ここを綺麗に改造してマッサージ店、開こうか」
「パパ、お願い。是非、やらせて。私、頑張るから。私、弟、妹達に学費、送りたいの」
「よし、ママと相談してみる」
身体も、心も、解放されて、うっとりしているパパの乳首の周りに集中的に舌を這わせ、乳首にキスをしてあげたの。それだけで、パパのトランクスの中が元気になったみたい。始まりよ。グレース仕込みのオチンチンマッサージ。本当は舌を使うんだけど、それはいくらなんでも、パパにできないわ。オイルと手だけのマッサージにするわ。
マッサージの途中で飲んでいた紅茶にバイアグラ、入れてあるの。薬の力も少し借りるのよ。マッサージと薬の相乗効果よ。あたし、プロだったんだから、要領は心得ている。
「さあ、パパ。裸になって、マッサージ台の上に、仰向けで横たわって。オチンチンマッサージ、始めるわよ」
「ジャネット、俺のチンポコ、ビーンビーンだぞ。これだったら、ママも喜ぶな」
「次からは、ここでママと交代するからね。ママを喜ばすのよ。約束よ」
「わかった。俺、グングン、突っ込んで、ママをイかせまくる」
さあ、仕上げよ。ローションをタップリと陰部に垂らして睾丸、鼠蹊部。肛門をベタベタにして、優しくマッサージ。最後はオチンチンをゆっくりと、かつ、激しく、しごくのよ。実をいうと、この辺のタイミングが一番難しいの。
来た。来た。パパの顔が赤くなって歪んできている。息が荒くなってきている。

「イッたあ! ジャネット、ありがとな」
「パパ、凄い量よ」
「すごい、すごい。すごい。ジャネット、うまいなあ。あっという間に天国だ」
「パパ、私の顔にもかかっちゃった。けど、舐めちゃった。ケンジのパパのだから、汚くないもの」
「ジャネット、お前、本当にいい子だな。娘になってくれて、うれしいよ。ずっと出してなかったんだ。ごめんな。ああ、すっきりした。身体が軽くなった感じだ」
「この次からは、ママと途中交代よ。あわてて強引に突っ込まないのよ。入れる前にママのものをたっぷりたっぷり優しく舐めるのよ。女って、優しくされることに弱いんだから」
「それにしても、ジャネットは正規のマッサージも、性器のマーサージも本当にうまいなあ」
「何、言っているの? 意味がわからない」
「ジャネット、夫婦和合アドバイザーとして、やっていけるかもしれないな」


「若い子って、本当に良いなあ。俺、ジャネットの顔が見たくて毎日通ってしまうよ」
「ジャネットの顔は何時まで見ていても、見飽きないなあ」
「いやだあ。麻木さん、そんなに見つめないで、恥ずかしいわ。穴があったら、入りたくなるわよ」
「俺、ジャネットの穴に入りたいなあ」
「安藤さんって、助平なことしか、言えないのね。最近、私、助平な言葉にどんどん慣れているわ。人間も助平になっている気がするの。安藤さんの責任だからね」
「ジャネットな、世の中な。助平を楽しむくらいの心のゆとりがあってちょうどいいんだ。助平な男ほど、実生活は堅くて信頼できるってもんだ」
「おい、安藤、堅いって、誰のこと? いつもフニャフニャで、トキちゃんに文句言われているくせに。最近はクスリも効かないって、本当?」
「ママ、それを言ったら、おしまいよ。ジャネットが相手だったら、多分ビーンビーンなんだけどな」

「ママ、ジャネットのお尻、ちょっと、触っていいかな?」
「駄目に決まってるでしょ。私のなら、少しくらいいいわよ」
「ごめん。それはこちらから遠慮いたしま~す」
「なら、家に帰って、トキちゃんのを触ってあげたら。歓ぶと思うよ。肉付きのいい、ふくよかなお尻。触り甲斐あるでしょ」
「あのな。ただのデブのケツじゃないか」
「何よ。10年前、あのお尻で上に乗られて揺すられて、ヒイヒイ、泣いて歓んでいたの誰よ。重量感のお尻は最高だって、私に漏らしていたくせに」
「ママな。人の思いってやつは、時代と共に移ろいいくものなんじゃあ」


「あのね、オジサマ方。私、フィリピンでマッサージ、ずっと学んでいたの。今度、2階でマッサージのお店、開業することになったの」
「誰がマッサージ、やるんだ」
「私よ」
「ママじゃ、ないな」
「うるさいな、安藤。ジャネットよ。私がマサージなんて、無理、無理。せいぜいトウチャンのチンチン、ニギニギするくらいよ」
「ママ、お下品よ」
「安藤がそばにいると、感化されるんだよ」
「よし、ジャネットのお客第1号は俺だ」
「指名制じゃないんですけど。でも、有難う、安藤さん」
「キャバクラと間違えて、俺、知らず知らずのうちにお尻など、触ってしまうことがあるかもしれないけど、少しくらいは、許せよ」
「ママ、どうする?」
「商売だからね。少しくらいは見逃してやるか」
「そうね、少しくらいは眼をつぶってあげるわ」
「そうだ。そうだ。減るもんでもあるまいし」
「安藤の次は、俺が予約」
「ありがとう。麻木さん」

マサージ営業開始よ。美しいセクシーな女性がマサージをしてくれるということで、近所の老人男性に大評判。順調に始動。珈琲店のお客も漸増したのよ。珈琲店、つぶさなくていいみたい。
マッサージで、なんとか食えるんだけど、心のどこかが満たされないの。



ジャニスの「MOOVE OVER」。また、かけてるわ。私、聞き飽きちゃってるのに。
ケンジは、ジャニス・ジョプリンの熱狂的ファンなの。ほとんど全てのレコードを収集しているわ。女性恐怖症、引きこもりの時期が長かったケンジ。ジャニスの孤独な歌声に、私には分らない次元で共感を寄せているみたい。ここにだけは性の歓びを共有し、深く愛し合っている私でも入っていけないの。そういう領域を持っているのが、人間なのよね。

「誰もジャニスのようにシャウトできないよ。僕にとっては特別のロックシンガーなんだ」
「クリスはどうしているかな。クリスの歌声はジャニスに似たところがある。マニラで、3流バンドをバックにして、クリスが飛び入りで『サマータイム』を歌ったとき、ゾクッときて、鳥肌が立ったことがあった」
本当、クリスは歌がうまいのよ。うまいというより、歌に魂を入れるの。それは、アイアンも私も認めていたわ。
ケンジは芸術的感性の豊かな人間。私との共通点よ。いいものが、心でわかるのよね。

今はマッサージに順調に客が来てくれるので、金銭的に少し余裕ができてきているかな。弟妹に結構な額、仕送りできるようになったの。うれしいわ。
私、相変わらず、アブラ、描いてるわ。でも、油絵は、お金が出ていく一方なの。マッサージも忙しいし、少し控えざるを得ないの。ケンジも会社の方が忙しいし、二人で、歳を取ったときの趣味に残しておこうなんて言って、慰めあっているのよ。

ケンジは造形大学を退学して、専門学校でインテリアデザインを学んで、今の会社に入ってサラリーマンになったのよ。名刺にはインテリアスタイリストと書かれているわ。好きな仕事なので、充実した日々を送っているみたい。
私、マッサージ、嫌いじゃないんだけど、どこか、心が満たされないのよね。オヤジの背中と尻ばかり見つめることになり、芸術的感性の方がいらだっているみたい。
ケンジに相談したの。
「そうだよな。暗い部屋で年寄りの尻と対面していて、いらついてくる気持ち、わかるよ。どうだい、俺と同じように専門学校に行って、デザイン、学んでみないかい?」
「ええ、行きたい。行きたい。すっごく、行きたい。マッサージは学校と重ならない時間にやるようにするわ」
「デザインでも、俺と同じものをやっても、面白くない。ファッションデザインとか、テキスタイルデザインなんかどうだい?」
「私、よくわからないんだけど」
「よし、今度の休み、俺と一緒に専門学校、幾つか回って、パンフレット、もらってこようよ」
 
ということで、私、ファッションデザインを一から勉強することになったの。
今は、すっごく充実した毎日を送っているわ。幸せよ。

あれから、パパとママの仲がしっくりいっているの。ケンジが気味悪がるほど、ベタベタアツアツなのよ。
「ジャネットって、本当にいい子だなあ。ケンジの嫁になってくれてよかったよ」
「本当ね。ずっと、反対していたことが恥ずかしいわ。あなたあ、今夜も寝る前、激しく優しく可愛がってね」
[PR]
by tsado18 | 2011-10-31 17:57 | 女達・それぞれの道